ジャパンハートカンボジアのスタッフとともにより多くの子どもたちの命を救おうと誓い合いました。
ジャパンハートから活動報告が届きました
こども医療センターの贈呈式から一年、 阿部会長が、 病院を再訪問しました。
今月の活動トピック
今月の活動実績 まとめ
救われた命 累計23名 (9月単月 16名)
◼ 今月は、17名の小児患者さんの命を救うことができました。◼ 6ページ目以降で、各患者さんを紹介しています。
◼ 今月は手術件数が多く、そのうち重症度の高い疾患の患者さんが多かったため、歴代2番目の16名の患者さんが「救われた命」に該当しました。
がん新規入院患者数 累計2名 (9月単月 0名)
◼ 9月の新規の小児がん患者さんの入院はありませんでした。他院からの紹介で今月1名進行がんの患者さんが入院予定でしたが、当院への搬送中に状態が悪化し亡くなりました。
◼ 昨年の同時期は5名の患者さんを新たに受け入れました。これは、国内の病院で治療を受けられないままとなっていた患者さんが集まったためです。
◼ 来月からは、小児がん患者さん家族に当院を知ってもらうために、ビラ配りを本格的に始める予定です。
外来診療数 186名
◼ 今月の外来診療患者数は186名と、先月より大幅に減少しました。◼ 今月外来診療患者数が減少した理由は、
①大型連休のため
9月27日~30日にプチュンバンという4日間の大型連休があり、この間、新規外来患者さんや、再診予約を受け付けていなかったためです。(昨年のプチュンパン連休は10月8日~10日)
②9月以降、デング熱発症数が激減したため
雨期の始まり(4月)から8月まで、全国的に昨年を大幅に上回る勢いで猛威を振るっていたデング熱が、月をまたいだ9月以降激減したことで、外来患者数にも影響が出たと思われます。
入院患者数 53名
◼ 今月の全入院患者さんのうち5人に4人が、予定手術のため入院した患者さんでした。◼ 昨年と比較し、9月の入院患者数が増加した主な理由は、日本から多くの外科医が夏休み(8月~9月)を利用してボランティア来て下さったためです。今年8月は主に成人患者さん、9月は小児患者さんを中心に手術を行い、2か月合計で入院患者数は昨年の約2倍に増加しました。
◼ 先月まで猛威を振るっていたデング熱による患者数は、国内全体の傾向と同様、9月以降減少し今月は1名のみの入院でした。
手術件数 44件
◼ 今月は全44件の手術が実施されました。そのうち小児がんの手術を2件実施し、当院では初となる小児がん患者さんの胸部を開く手術を行いました。◼ 今月は、当院で勤務する外科医に加えて、吉岡、大学病院の小児外科チーム、ボランティア医師による手術活動で、多くの小児外科疾患の手術を行うことができました。
◼ 耳鼻咽喉科専門医による手術活動も行われ、カンボジアでは受けることが難しい耳鼻咽喉科の手術を4名の患者さんに行うことができました。
ピセンちゃん
年齢:11歳病名:リンパ管腫
良性腫瘤性病変と言われ、風船のような「嚢胞」が集まって塊をつくっている病変です。嚢胞はリンパ管の一部が異常に膨らんで袋状になったものです。治療を行わなければ、肥大し続け、喉を圧迫し飲み込みが行えなくなるなどの障害が起きることがあります。
家族構成:父、母
ピセンちゃんは生まれつき顔に腫瘍があり、成長につれて徐々に大きくなっていました。ピセンちゃん家族は、別のNGOを通じて当院のことを知り、受診してくれました。
当院で今回、2回目の手術を受けました。リンパ管の腫れは2回の手術を通して少しずつ小さくなってきました。
ピセンちゃんは阿部亮様がご来院時に話しかけて頂いた患者さんの一人です。
タナくん
年齢:生後24日病名:細気管支炎
気管支で炎症がおきて、咳や痰などの呼吸器症状を起こします。特に生後間もない時期の発症のため、治療をしなければ悪化し命に関わる重症な状態に発展する可能性がありました。
来院する3,4日前から発熱し、息苦しそうに呼吸をしていました。その後症状が悪化したため、自宅から2時間かけて当院を受診しました。入院当初はぜーぜーと呼吸していましたが、痰の吸引を行いながら、経過観察を続けました。徐々に症状が治まり、入院から3日後に無事に退院することができました。
マライちゃん(途中経過)
年齢:15歳病名:縦隔原発胚細胞腫瘍
(赤ちゃんの時期(胎生期)に色々な内臓に分化する能力を持った原始胚細胞という細胞が、悪性腫瘍になったものと考えられています。好発年齢は10歳代から30歳代です。)
家族構成:父、母、弟の4人家族
マライちゃんは、もともと他院でがんの治療を受けていましたが、国内での手術は難しいと言われ海外での手術を進められてしまいました。しかし、行くことができずにいました。その後、再発したため当院に紹介されました。3か月間、抗がん剤治療を受け、腫瘍が小さくなったところで9月に鹿児島大学の小児外科チームにより腫瘍摘出の手術を受けました。当院初の開胸手術でした。手術は無事に終了し、術後5日目には元気な姿で阿部会長にもお会いすることができました。
ノヴォンリサッくん
年齢:11歳病名:デング熱
重症化しうる病気のため、入院しながら医療者による経過観察が必要です。
家族構成:父、母
入院する一週間前から食欲がなくなり、高熱が出始めました。自宅から近い当院を受診したところ、デング熱と診断されすぐに入院することになりました。入院中は吐き気が長く続きましたが、点滴による治療を受けながら徐々に症状が治まり、無事に回復することができました。
ダーウィンくん
年齢:10歳病名:左足の外傷
家族構成:父、母、妹の4人家族
友達と川で蛇をつついて遊んでいた時に使っていた、太い金属を足に突き刺してしまいました。そこで、知人に勧められて知っていた当院をすぐに受診しました。当院に到着したときは2m程の熊手が刺さったままの状態でした。チェンソーで金属を切断し、すぐにレントゲンを撮り、骨に異常がないことは確認できましたが、傷が深く、そのままにしておくと、破傷風にかかる高いリスクがありました。
当院では、手術室で刺さった金属を抜き取り、傷口を止血・消毒をし、縫いあわせました。破傷風感染を予防するためのワクチンを注射しました。幸い、徐々に傷口と痛みが改善し5日後に退院することができました。
ソッコールちゃん
年齢:13歳病名:頚部膿瘍(首のリンパ節腫大の生検を実施)
悪性リンパ腫の疑いがあったため生検を実施しましたが、がん細胞は認められませんでした。
膿瘍とは、細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。
ソッコールちゃんは3ヵ月前に首のあたりにしこりが出来始めました。はじめは小さかったのですが、徐々に大きくなり、1ヵ月に2~3度熱も出るようになりました。結核や腫瘍である可能性があったため、手術をして確定診断をするための生検を行いました。病理検査の結果、膿瘍であることが分かりました。当院では抗生剤を投与し治療を行いました。
アーパニーちゃん
年齢:4歳病名:臀部膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。 家族構成:父、母
アーパニーちゃんは当院を受診する6日前から赤い腫物が左のお尻に出来始めました。2日前から段々腫れがひどくなり痛みも増してきました。親戚に勧められ自宅から2時間半かけて当院を受診しました。左の尻の皮下に膿がたまって熱も出ていたので、切開して膿を出し、抗生剤を開始しました。
毎日傷を洗浄、抗生剤の投与をし、感染が全身に広がらないよう処置を行いました。その後回復したため元気に帰りました。
レアクサくん
年齢:5歳病名:停留精巣
陰嚢の中に精巣が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患。陰嚢に精巣がおりてこないままの状態が続くと、精巣がんや、不妊の原因となると言われており、日本では2歳までに手術することが望ましいとされている病気です。
レアクサくんは、生まれた特から左側の陰嚢に精巣がありませんでした。左側鼠径部周辺が膨らんでいるのに家族が気付いたので、自宅近くの当院を受診しました。エコーを当てた結果、停留精巣と診断されました。手術を受け、無事退院することができました。
ファラドくん
年齢:5歳病名:停留精巣
陰嚢の中に精巣が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患。陰嚢に精巣がおりてこないままの状態が続くと、精巣がんや、不妊の原因となると言われており、日本では2歳までに手術することが望ましいとされている病気です。
ファラドくんは生まれた時から、陰嚢が腫れていて、時々痛がっていました。心配した母親がファラド君を連れて、当院を受診しました。
診察してみると、陰嚢に精巣が下りてきておらず停留精巣であることが分かりました。当院では、手術を行い3日後に元気に帰っていきました。
ソリプくん
年齢:2歳8か月病名:停留精巣
陰嚢の中に精巣が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患。陰嚢に精巣がおりてこないままの状態が続くと、精巣がんや、不妊の原因となると言われており、日本では2歳までに手術することが望ましいとされている病気です。
ソリプくんの母親は、ソリプくんが生まれた時から陰嚢に異常があることを認識していました。ソリプくんが2歳になった頃から、しきりに鼠径部を痛がるようになりました。そこで、家族は、日本人が手術を行っているという当院のことを聞き、当院で手術を受けることにしました。手術は鹿児島大学の小児外科チームの医師に行ってもらい、無事に終了することができました。
チャンラくん
年齢:6歳病名:停留精巣
陰嚢の中に精巣が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患。陰嚢に精巣がおりてこないままの状態が続くと、精巣がんや、不妊の原因となると言われており、日本では2歳までに手術することが望ましいとされている病気です。
チャンラくんは、生まれた時から両側の陰嚢に精巣がない状態でした。陰嚢に降りてきていない精巣によって鼠径部が膨れており、2か月前から痛みがありました。
家族が、無料で手術を行っている当院のうわさを聞き、カンボジア最南端の州から車で5時間かけて受診しました。
手術は無事に終了し、1週間後に退院できました。
ネアクラトくん
年齢:2ヵ月病名:細気管支炎
入院する2日前から痰が絡んだ咳をしていました。食欲が低下し、下痢も続いていました。たんが気道にたまってしまうと気道を狭窄し、窒息や呼吸困難をきたす恐れがあります。そのため、入院しながら吸引と経過観察を行いました。入院後3日目にやっと状態が改善し、長く続いた咳と息苦しさがなくなったため、無事退院することができました。
タリーちゃん
年齢:1歳病名:耳下腺部の膿瘍
2週間前から耳の下が赤く腫れていました。やがて痛みが強くなったため、母親がタリーちゃんを連れて当院を受診しました。当院では切開排膿し、抗生剤を投与しました。患部を定期的に洗浄し、清潔に保ちながら経過観察をしました。症状が改善したため、無事退院することができました。
マレンちゃん
年齢:15歳病名:過呼吸症候群
勉強しているときに突然息苦しさを感じ、倒れてしまいました。マレンちゃんは以前も同様のことを3回経験していました。家族は彼女を連れて自宅近くの当院に駆け込みました。
来院時、めまいと息苦しさ、胸の痛みを訴えていたので、当院では血液と心臓の検査を行い、点滴による治療を行いました。 翌朝には、めまいや呼吸状態が改善し無事退院することができました。
ボロマイくん
年齢:5歳病名:胃腸炎
ボロマイくんは、入院する3日前から高熱、激しい腹痛、下痢の症状を訴え、当院の連携病院に一日入院していました。その翌日、症状がさらに悪化したため、当院に紹介されました。
入院期間中は、点滴による治療と経過観察を行いました。徐々に状態が改善し、3日後に熱が下がり、下痢もなくなり、無事退院することができました。
チャンディくん
年齢:1歳9か月病名:食中毒
チャンディくんは、前日に自宅近くに生えていた植物を口にして以来、下痢と嘔吐を繰り返し、熱発していました。加えて、飲食することができない状態でした。そこで、以前より良く知っていた当院を受診しました。
入院時はひどい脱水症状を起こしていたため、点滴による治療と経過観察を受け、入院5日目になってやっと症状が改善し食欲も出るようになりました。
1週間の治療の末、退院することができました。
ラチャナちゃん
年齢:5歳病名:胃腸炎
年齢:2歳
病名:急性胃腸炎
ラチャナちゃんは激しい吐き気、下痢と腹痛でもだえる様子だったため、自宅から近い当院の救急外来を受診しました。
来院時は水を飲むこともできず、脱水症状を起こし危険な状態だったため、入院し点滴による治療を行いました。
後日、症状が改善したため、退院することができました。