一般財団法人 阿部 亮 財団

最高顧問吉岡先生が20件の小児がんの手術を含めあわせて100件の手術を行いました。

ジャパンハートから活動報告が届きました

最高顧問吉岡先生が20件の小児がんの手術を含めあわせて100件の手術を行いました。

今月の活動トピック

最高顧問吉岡が1月から2月中旬まで約1ヵ月の間に
20件の小児がんの手術を含む計100件の手術を
行いました。
神経芽腫で入院していた2歳と4歳の男の子の
患者さんが、治療を終え、退院することが
できました。
写真は4歳のチャリーくん。
カンボジアでは手術が困難と判断した、肝芽腫で入院している2名の患児に来日してもらい、
岡山医療センターで手術を行って頂きました。
現在無事に手術を終え、治療を続けています。
ジャパンハート奨学生支援事業で支援を受け卒業した医学生1名、看護学生3名が、当院での勤務を
開始しました。
(写真は看護師になった3名)
長期ボランティア医師としてベテランの外科医が当院での活動を開始しました。
2月20日プノンペン市内で新型コロナウイルスの
大規模なクラスターが発生し、再び国内での様々な
活動が制限されるようになりました。

今月の活動実績 まとめ

救われた命 累計92名 
(2月単月 11名)

◼ 今月は小児がん患者さん9名を含む、計11名の子どもたちの命を救うことができました。
◼ 救われた小児患者さんについて6ページ以降で
紹介しています。

がん新規入院患者数 累計58名 
(2月単月 11名)

◼ 2月の小児がん患者さんの新規入院者数は11名に上り、引き続き多くの患者さんが当院での治療を求め、来院しました。
◼ 当院の他にカンボジア国内で小児腹部固形がんの治療を行っていたチャリティ病院が、昨年12月より腹部固形がん治療を休止してしまったため、
以前にも増してシエムリアップやその周辺の州からのがん患者さんが増加しています。

外来診療数 206名

◼ 2月の外来診療数は206名にのぼりました。
 例年同様、2月の患者数は前月と比較し減少傾向にありました。
 
◼ 2月20日にプノンペン市内で大規模な新型コロナウイルスのクラスター感染が発生しました。
感染対策のため、学校をはじめとする様々な施設が閉鎖されたほか、多くの人々が行動を自粛し国内の交通量が減少しました。当院は2月20日以降も通常通り、感染対策を行いながら外来診療を実施していましたが、今月の外来患者数は減少しました
 

入院患者数 14名

◼ 2月は14名の入院患者の内、11名が新規の
小児がんでした。
◼ 2月は生検や入院治療が必要ながん患者が病棟のベッドの大半を占めていました。その他の手術入院は少ない数にとどまりました。2月後半はコミュニティ感染が起きたこともあり、外来患者数減少に伴い入院患者数も減少しました。

手術件数  19件

◼ 2月は入院中の小児がん患者さんへ腫瘍を摘出する手術や生検手術を計11件を実施することができました。手術を受けた患者さんは全員無事退院または、確定診断の後、小児がん病棟で抗がん剤治療を行っています。

ピセットくん

年齢:11歳
家族構成:父、母、4人兄弟の長男
病名:ホジキンリンパ腫
悪性リンパ腫の一つで、血液細胞に由来する
がんです。
白血球の一種であるリンパ球ががん化した病気です

ピセットくんは首都プノンペンに住む小学5年生です。父親は地元で金属を溶接する仕事をし、母親は学校の先生をしています。
2018年から首の右側のリンパが腫れ、ずっと熱が出るようになりました。近所のヘルスセンターで結核と診断され、6か月もの間、結核治療の薬を飲み続けましたが、よくなりませんでした。
再度受診するとさらに6か月間服用するように言われ、飲み続けましたが、改善するどころか腫瘍が首の左側にもできてしまいました。
そこで、国内最大の小児病院を受診したところ、
解熱剤を処方され、症状が改善せず、
再度受診して解熱剤を処方されることを5回、繰り返しました。
医師に生検の手術を受けてほしいと言われましたが、父親が拒み実家に連れて帰りました。
症状は悪化する一方だったので、今度は
シエムリアップ州にある小児病院を受診し、検査を受けました。
そこで初めて、がんの疑いがあることが分かり、当院を紹介されました。当院で生検の手術を受けました。
確定診断の後、抗がん剤治療を行う予定です。



ベスナくん

年齢:4歳
家族構成:父、母、姉
病名:腹部のリンパ腫
リンパ腫とは血液がんの1つで、白血球の中の
リンパ球ががん化したものです。
リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、リンパ腫は全身の部位で発生する可能性があります。

べスナくんは、シエムリアップ州に住む男の子です。
当院に入院する10か月前から腹部が腫れ始めました。腹痛があり、明らかに腹部が腫れていたため、
小児病院を受診したところ、膿瘍という皮膚の感染だと診断され、処方された薬を飲みましたが、よくなりませんでした。開腹して腫瘍を摘出しましたが、
7か月後また腹部に腫瘍が現れました。
再度手術を行い、病理検査の結果、
バーキットリンパ腫の疑いがあることが
分かりました。
その手術の2か月後、再度、腹部の腫瘍が大きくなり受診すると、当院を紹介されました。
来院時、大きくなった腫瘍のため、おしっこがしにくく腹痛もありましたが、当院で抗がん剤治療を
開始し、症状は改善しています。



ラユーくん

年齢:4歳
家族構成:父、母、妹
病名:腎明細胞肉腫(CCSKともよばれる)
腎臓にできるがんの内、腎明細胞肉腫は小児腎腫瘍の約4%を占める悪性度の高い腫瘍で、男児に多く、
2歳以上の年長児に多い。
特に骨への転移をきたしやすい。

ラユーくんはクレーン車のおもちゃで遊ぶのが好きな男の子です。
自宅は当院と同じカンダール州にあり、当院から車で1時間程度の近所にあります。
来院して間もなく、腎臓のがんの摘出の手術を
吉岡医師から受けることができました。
摘出した腫瘍を生検の結果、腎明細胞肉腫という
術後34週間の抗がん剤治療に加え、
放射線治療も必要ながんであることが分かりました。
今後1年近く治療を続けることになります。
早くも、病院での生活に慣れた様子で、特に困っていることもないと家族は話してくれました。



ロザちゃん

年齢:3歳
家族構成:父、母、弟
病名:神経芽腫疑い
神経の細胞にできるがんです。小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いと
されています。

ロザちゃんとその家族は、クラチエ州という当院から遠く離れた州に住んでいます。
ロザちゃんの家族を支えるお父さんはお肉や野菜を
運ぶ物流の仕事をしています。
ある日ロザちゃんが腹痛を訴えたので、
地元のクリニックを受診し、治療してもらいましたが、
改善しませんでした。
そこでプノンペンにある、国内最大の小児病院を受診しました。
検査の結果、がんの疑いがあることが分かり当院を
紹介されました。
現在は抗がん剤治療を頑張っています。
腹痛による影響で今は食欲不振ですが、普段は果物を食べるのが好きで、自転車のおもちゃで遊ぶことが好きだそうです。



ラタナッくん

年齢:9歳
家族構成:父、母
病名:縦郭のリンパ腫疑い
リンパ腫とは血液がんの1つで、白血球の中の
リンパ球ががん化したものです。
リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、リンパ腫は全身の部位で発生する可能性があります。

ラタナッくんは小学2年生で算数が得意な
男の子です。
当院を受診する5日前、ラタナッくんの胸にしこりがあることに気づいた母親が、プノンペンにある
小児病院に連れて行きました。
検査の結果、縦郭のリンパ腫の疑いがあることが分かり、当院を紹介されました。
当院では抗がん剤治療を開始し、胸のしこりは小さくなってきています。



チャンナヌッくん

年齢:7歳
家族構成:父、母
病名:神経芽腫
神経の細胞にできるがんです。
小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いと
されています。

チャンナヌッくんはプノンペンの郊外で、両親と
親戚の総勢10名の大家族で一緒に暮らしています。
当院を受診する1ヵ月半くらい前から熱が出て、国内最大の小児病院を受診したところ、腸の感染を疑われ治療を受けました。
しかし退院して3日後に、また熱が出たため再度受診して、MRI検査を受けたところ、がんの疑いがあることが判明し、当院を紹介されました。
当院で生検の手術を受け、神経芽腫と
診断されました。
これから抗がん剤治療を受ける予定です。



チャンネアちゃん

年齢:8歳
病名:頸部リンパ腫

チャンネアちゃんは当院を受診する1年前から首に塊がありました。
シエムリアップ州の病院で結核と診断され、6か月間結核治療の薬を飲み続けましたが、症状は改善しませんでした。
プノンペン郊外にある韓国のNGOが運営するチャリティ病院を受診し、生検を受けました。
そこで、リンパ腫の疑いがあることが判明し、当院を紹介されました。
当院に入院してすぐ、生検の手術を受けました。
確定診断の後、抗がん剤治療を実施する予定です。



ソタイくん

年齢:13歳
家族構成:父、母、5人兄弟の4番目
病名:神経線維腫症
腫瘍が体中のさまざまな神経(脳神経、運動神経、
感覚神経を含む)に沿って成長する病気。

ソタイくんは、シエムリアップ州に住む
中学一年生です。
学校の授業では理科が得意だそうです。
ソタイくんがまだ5歳の頃、自転車に乗った時に腹部をぶつけ怪我を負って以来、ずっとお腹にしこりがあったそうです。
ぶつけた当時、吐き気と激しい痛みのため病院に行くと、結核の薬を処方されました。しばらく飲んで症状が改善したので、服用を辞めると症状が再発したため、服用を再開し、累計1年半以上飲みました。
痛みの症状はなくなりましたが、この時から腹部の塊がずっと残ったままでした。悪性ではないのですが、徐々に大きくなっており、そのままにしていると他の臓器を圧迫しかねなかったため、摘出する必要がありました。
ソタイくんは2か月前に別の病院で摘出の手術を試みましたが、血管が絡み、とり切れなかったため、当院を紹介されました。
当院に入院後は手術で腫瘍全摘することができ、無事退院しました。



スレイピッチちゃん(途中経過)

年齢:4歳
家族構成:父、母、二人姉妹
病名:神経芽腫疑い
神経の細胞にできるがんです。小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いと
されています。

スレイピッチちゃんは、プノンペンの郊外の州出身の女の子です。
両親は実家近くで米と野菜を育て生計を立てているため、入院はおばあちゃんが付き添っています。当院で治療を開始しておよそ一か月がたち、現在は目元の腫れもひき、元気に食べて笑う姿を頻繁に見ることができるようになりました。
スレイピッチちゃんのおばあちゃんは、
「これまで別の病院ではジャパンハートのスタッフ程、親身に様子を見てくれたことが無かったので、
ここでの治療に満足している」と言ってくださいました。



シナンちゃん

年齢:14歳
家族構成:父、母、二人姉妹
病名:卵黄嚢腫疑い
生殖器や胸の中(縦隔)、お腹の中(後腹膜、
仙骨部)、脳などに発生しやすい
悪性腫瘍の1つです。

2年前のある日、シナンちゃんが頭痛を訴えたため、お母さんが頭を撫でたところ、不自然なしこりがあることが分かり、それが腹部にもあることが分かりました。
地元のクリニックで生検を受けたところ、卵黄嚢腫を疑われ、シエムリアップ州にある大きな
小児病院を紹介されました。
そこで様々な検査を受け、がんであることが判明しましたが、そこではがん治療を行えなかったため、
プノンペン市内の抗がん剤治療を行える国立病院に紹介されました。
7カ月間、抗がん剤治療を受けましたが、腫瘍の残存があるため、治らないと言われ、
当院を受診しました。
入院後に残存腫瘍の生検を行い、結果を待って治療を検討する予定です。



その他の命を救われた患者さん

今月当院での治療により、命を救うことができた患者さんは前頁まででご紹介した他に8名いらっしゃいます。お名前、疾患名等は次の通りです。 全員、無事に回復し退院することができました。
名前 年齢 性別 疾患名
1 サムナーンくん 4 M 腹部膿瘍
2 ソクノウちゃん 4 F 臀部膿瘍
 

今月の救われた命

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です