病院の給食センターから小児がん患者に給食の提供がスタートしました
ジャパンハートから活動報告が届きました
今月は長崎医療センターの形成外科チームが来院し、斜顔裂の大手術を
行い、カンボジアでは無料で受けることが困難な形成外科手術を計13人に
行いました
今月の活動トピック

アジアの医療拠点となることを目指している当院が、初めて海外(ラオス)から患者さん(4歳)を受け入れました。
日本からお越し頂いた外科チームと合同で手術を行いました。
日本からお越し頂いた外科チームと合同で手術を行いました。

長崎医療センターより形成外科チームが来院し、
ラオスから治療を受けるために来院した斜顔裂の
患者さんを含む13名に手術を行って頂きました。
ラオスから治療を受けるために来院した斜顔裂の
患者さんを含む13名に手術を行って頂きました。

今月、半年~1年以上に及ぶ治療を終えた
小児がん患者さん(ダーラッくん、パンニャくん、リマちゃん、ティラくん、マライちゃん、)計5名が治療を終え、退院しました。
小児がん患者さん(ダーラッくん、パンニャくん、リマちゃん、ティラくん、マライちゃん、)計5名が治療を終え、退院しました。

給食センターから小児がん患者さんに給食提供を
開始しました。
開始しました。

巡回診療を行う州を新たに開拓し、医療活動を行いました。より多くの人にジャパンハートこども医療センターのことを知って頂く機会となりました。

小児科部長である嘉数真理子医師が、
沖縄県で「世界ウチナーンチュの日」の特別講演を行いました。
地元メディアにも取り上げられ、多くの方に当院の活動を知って頂くことができました。
沖縄県で「世界ウチナーンチュの日」の特別講演を行いました。
地元メディアにも取り上げられ、多くの方に当院の活動を知って頂くことができました。
今月の活動実績 まとめ
救われた命 累計39名 (10月単月 16名)
◼ 今月は、16名の小児患者さんの命を救うことができました。◼ ページ下部で、各患者さんを紹介しています。
◼ 今月は重症度の高い内科系疾患のほか、外傷や顔面奇形に対して手術を受けた患者さん等が「救われた命」に該当しました。
がん新規入院患者数 累計4名 (10月単月 2名)
◼ 10月は新たに2名の小児がん患者さんが入院しました。◼ 当院では、開院当初を除き、毎月1~2名のペースで新規のがん患者さんを受け入れています。今月の入院患者数は例月通り2名でした。
◼ 入院したがん患者さんについて7,8ページで紹介しています。

外来診療数 201名
◼ 今月の外来診療患者数は200名を超え、前年同月から25%増加しています。◼ 昨年と比較し、今月外来患者数が伸びた理由は、下記の3点が考えられます。
・昨年は大型連休(カンボジアのお盆)が10月にあり、(今年は9月末)今年10月は昨年10月より外来診療日が多かったため
・前月は手術件数が多かったため、術後のフォローアップで患者さんが多く受診したため

入院患者数 36名
◼ 10月は36名の患者さんの入院を受け入れました。◼ 先月は、ほぼ毎週小児外科医が手術を行いましたが、今月は小児患者さんを対象とした手術は1週間のみでした。そのため、手術で入院する患者さんが少なく、全体的な入院患者数が減少しました。
◼ なお、昨年平均と比較し、入院患者数が多い理由には下記が考えられます。
・外来患者数が増加に伴い、入院となる重症患者さんが増加しているため
・「近所の人や親戚から受診した体験談を聞いた」などの口コミが徐々に浸透したため
手術件数 20件
◼ 今月は長崎医療センターの形成外科チームが来院し斜顔裂の大手術を行ったことに加え、カンボジアでは無料で受けることが困難な形成外科手術を計13人に行いました。◼ 手術期間ではない平時には、長期ボランティア医師と現地人医師により、ヘルニアや外傷の手術を行いました。
◼ 毎月手術件数に大きな波がある理由は、小児外科手術を行える医師の滞在期間の長さと頻度にばらつきがあるためです。10月は1週間のみの手術スケジュールでした。

ジャパンハートこども医療センター(カンボジア)にて
初めて国外の小児患者さんに手術を行いました。

■アジアで高度医療を提供するために
東南アジアには必要な治療を受けられない患者さんがいまだに多くいます。それは患者さんの経済的困窮、現地の医療レベルの低さから適切な治療へのアクセスが難しいためです。
ジャパンハートこども医療センターはアジア全土から患者さんを無償で受け入れ、高度な医療を提供する病院となることを目指しており、下記の事柄に取り組んできました。
①小児外科専門医との連携
日本の大学病院との連携関係を強化し、当院で定期的に手術活動を行って頂きながら、高度な技術が必要となる疾患を治療できる体制を整えました。
②高度医療機器を設備
小児がん手術をはじめとする高度な小児外科の手術を行うため、必要な医療機器をそろえました。
■チャンペンちゃん手術実施
斜顔裂の奇形をもって生まれた女の子チャンペンちゃん。ラオスではご家族の経済的理由と現地の医療環境から手術を受けることが困難でした。ジャパンハートの支援で、4年前に日本で第一回目の手術を受けました。
今回の手術のために、当時の執刀医で長崎医療センターの藤岡医師をはじめとする形成外科チームにジャパンハートこども医療センターにお越し頂きました。成長に伴い再手術が必要になった顔の部位に手術を行いました。大手術は見事成功し、チャンペンちゃんは元気な姿で退院することができました。
■アジアで医療の届かなかった患者さんに、高度な医療を届ける病院へ
本プロジェクトは長崎医療センターの形成外科チームとの連携により実施に至りました。今後も日本の医療機関と連携しながら、カンボジアの当医療センターを拠点に、高度な医療を無償で提供する体制を構築していきます。日本の医療がカンボジアだけでなくアジア圏の多くの患者さんに届けられるように、引き続き本プロジェクトを拡大させていきます。


チャンペンちゃん

正面からの顔写真の掲載は控えさせて頂きます。
年齢:6歳病名:斜顔裂:顔の先天的な奇形
家族構成:父、兄
チャンペンちゃん家族はラオスの田舎に住んでいます。生まれた時から顔に複雑な奇形を抱えており、ジャパンハートの支援によって1歳10か月の時に日本で形成外科の手術を受けました。それから4年がたち、いくつかの問題を抱えていました。
・左眼瞼に大きな腫瘤ができ、左目が塞がっている
・口腔内に穴があることにより、誤飲しやすく、適切な発音ができない
・左上唇の奇形のために常に口が開いている
上記3か所の顔の部位に、形成外科の再手術を行うため当院まで来ました。
術後は傷口の状態も徐々に良くなり、手術から10日後に無事退院し、ラオスへ帰国しました。
ソーンピトゥくん

病名:膀胱原発の横紋筋肉腫:横紋筋肉腫とは骨、筋肉や脂肪といった軟部組織にできる悪性腫瘍です。
家族構成:父、母
来院する2か月前からの尿が出にくくなっており、足もむくんでいたため国立小児病院を受診しました。そこでCT検査を受けたところ、膀胱の裏側に腫瘍が見つかりました。ベトナムの病院を受診したり、プノンペン市内の大きな病院を転々としたりしましたが、治療を受けることが難しく、最終的に当院にたどりつきました。到着時には腫瘍の影響で、腎不全と高カリウム血症をきたしており、突然死のリスクのある非常に危険な状態でした。
当院では腎不全改善後に抗がん剤治療を行い、腫瘍を小さくした後に摘出する手術を行う予定です。
ゲチロアちゃん

病名:子宮腺がん:子宮の腺組織から発生してできたがん
家族構成:父、母
今年8月に尿が出にくくなったため、プノンペンの大きなチャリティ病院を受診し検査したところ子宮腺がんであることが分かりました。 その病院ではゲチロアちゃんのがんの治療は行うことができないため、国立がんセンターを受診しましたが、そこでは治療費を支払うことができず、治療を受けることができませんでした。
当院のことを紹介され来院した時には、腫瘍がすでに他の臓器に転移した状態でした。腫瘍により尿道が圧迫され尿が出なくなっていたため、尿路を確保し、痛みを和らげる緩和ケアを行いました。
マニアちゃん

病名:デング熱:重症化しうる病気のため、入院しながら医療者による経過観察が必要です。
家族構成:父、母
マニアちゃん家族は病院から徒歩10分の距離に暮らしています。熱が続いており、近くに医師や看護師が良くみてくれると評判の当院を受診しました。
マニアちゃんは入院してからもしばらく、強い腹痛と高熱の症状が長く続いていました。苦しそうなマニアちゃんの姿を見て家族も心配していましたが、入院から1週間ほどで症状が和らぎ、その後順調に回復していきました。退院時は元気な姿で笑顔も見せてくれました。
今後も自宅近くに当院があるため、安心して通えるのでありがたいとお母さんは嬉しそうに話していました。
サボットくん

病名:細気管支炎:気管支で炎症がおきて、咳や痰などの呼吸器症状を起こします。特に生後間もない時期の発症のため、治療をしなければ悪化し命に関わる重症な状態に発展する可能性がありました。
家族構成:祖母、父、母、おじ2人
サボットくんはある日、熱、咳、鼻水、下痢が出て、非常に苦しそうにしていたため、自宅近くにある当院をすぐに受診しました。
来院時、呼吸状態が非常に悪く危険な状態でした。11日間入院しながら治療を続け、やっと回復することができました。
サボットくんは隣接する公立の連携病院で生まれたこともあり、医療スタッフがよく診てくれるので安心して入院できているとお母さんが嬉しそうに話してくれました。
レイノーくん

病名:左大腿の膿瘍:細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。
家族構成:父、母、兄弟二人
レイノーくん家族は当院からバイクで40分程度の距離に住んでいます。隣人が以前当院で入院し治療を受けた際、「清潔な病院で、医師が優しかった」という話をしていたので、今回の受診を決めたそうです。
入院する2週間ほど前から左の太ももに痛みがありました。診察と検査の結果、痛みの原因は膿瘍であることが分かり、早速切開排膿しました。その後、入院しながら傷口のケアと抗生剤の治療を受けました。
ブンテルくん

病名:脇下の膿瘍
家族構成:父、母、おば、弟
来院する1週間ほど前から脇の下が腫れ始め、薬を飲んでみましたが改善しませんでした。自宅近くのクリニックを受診したところ、クリニックの看護師が当院の受診を勧めてくれたそうです。自宅からバイクで1時間かけて来院しました。
当院では、切開排膿し、傷口の炎症が治まるよう洗浄と抗生剤の投与を続けました。入院のために学校を休んでいましたが、数日間の入院で皮膚の状態が回復したため、無事退院することができました。
サムナーンくん

病名:太ももの膿瘍
家族構成:父、母、兄弟二人
1歳になり頻繁に歩き始めた頃に転んでケガをしました。
その傷口から細菌が入り、膿瘍ができ、太ももに大きく広がってしまい非常な危険な状態で当院にやってきました。手術室で、切開し排膿したところ200mlもの膿が出てきました。入院しながら毎日複数回丁寧に傷口を洗浄し、抗生剤の投与を続けて歩けるようになりました。
ピサイちゃん

病名:腕の刺傷
家族構成:父、母、弟
自宅で友達と遊んでいたところ、近くにいた弟が魚を捕るときに使う槍のようなものをピサイちゃんの腕に過って深く差してしまいました。激しく痛がるピサイちゃんを抱え母親が自宅から5分のところにある当院に連れてきました。
レントゲンを撮ったところ、幸い、腕の太い血管や骨を損傷していなかったものの、汚い槍が深く入ってしまっていることで、適切な処置を行わなければ、すぐに感染し敗血症になるリスクが極めて高い状態でした。
手術室で切開し槍を抜き、傷口を洗浄した後、縫合しました。
その後も抗生剤を投与しながら傷口が回復するのを待ちました。
スレイモイちゃん

病名:首の膿瘍
家族構成:父、母、弟二人
中学1年生になったばかりのスレイモイちゃん。左耳のすぐ下が腫れ始めたので近所のヘルスセンターを受診しました。そこでは結核と診断され、結核の薬を処方され2週間飲み続けましたが、腫れは引きませんでした。そこで、叔母が自宅から車で4時間離れた当院を受診させました。
スレイモイちゃんの叔母は、プノンペンの国立病院で、たまたま当院の小児がん治療を受けている母親と出会い、ジャパンハートのことを知りました。子どもが治療が難しい病気にかかったら当院に連れて行こうと決めていたそうです。
当院で切開し排膿すると、ずっと抱えていた痛みがやっと少し引いたそうです。
抗生剤と傷口の洗浄のケアを受け、徐々に回復していきました。
ラッリーくん

病名:頭部の潰瘍:潰瘍とは皮膚・粘膜の組織が深く欠損している状態のことで、放っておくと膿瘍と同様、全身に菌が回り危険な敗血症のリスクがあります。
家族構成:父、母、姉
ラッリーくんは自宅近くの屋外で友達と遊んでいた時に、硬い土の塊で頭をたたかれ、そこに傷を負ってしまいました。はじめは街のクリニックに行き、傷口を縫ってもらいましたが、その傷口がさらに大きく広がって悪化しました。そこで、近所の人から勧められた当院を受診することにしました。
当院では傷口を清潔にし、縫合しました。一日に何度か傷口を洗浄しながら、徐々に良くなってきています。
ラッリーくんの母親は、ジャパンハートの医療スタッフが慎重に丁寧にケアしていると、満足してくれている様子でした。
チワーちゃん

病名:デング熱
家族構成:父、母、兄、姉、弟
3年前にチワーちゃんのお母さんは、開院して間もない当院で脂肪腫を摘出する手術を受け、当院のことをよく知っていました。チワーちゃんが高熱を出したので当院を受診し、検査を受けました。診断の結果、デング熱だったため入院となりました。回復し退院できるまでに5日間かかりましたが、その間、点滴による治療と医師による経過観察を受けました。十分回復することができたため無事に退院することができました。
ソパナくん

病名:喘息:空気の通り道である気管支が急激に収縮し、呼吸困難の発作を繰り返す病気。適切な治療がなければ死に至ることもある病気です。 家族構成:父、母、姉
ソパナくんは苦しそうに呼吸をしていたため、自宅近くにあるウドン市場周辺のクリニックを受診しました。喘息の症状がひどく、そのクリニックでは治療を受けることが難しかったため、当院を紹介されました。入院後は吸入と点滴の治療を行い、順調に回復した後退院しました。
スレイピッチちゃん
年齢:2歳病名:喘息
当院を受診する3か月前から息苦しそうにすることがありました。ある日、咳と痰が2日間も出続け、その日の夜には呼吸も苦しそうにするようになったため、自宅から30分かけて当院を受診しました。入院期間中は痰の吸引を行いながら、経過観察を続けました。3日後には症状が治まり、無事に退院することができました。
レアクスメイちゃん
年齢:1歳病名:毒物誤飲(ガソリン)
家族構成:父、母
カンボジア国内では、バイク用のガソリンは飲み物の容器に入って販売されていることが多く、子どもが誤って飲んでしまうことが多くあります。今回、レアクスメイちゃんもガソリンを誤って飲んでしまい、すぐに当院の救急外来を受診しました。ガソリンを飲み込んでしまって以降、咳が止まらず、2度も吐いており、状態が不安定だったため入院となりました。その後、全身の状態が回復し退院することができました。
チャムロンくん
年齢:8歳病名:膝の膿瘍
5日前から膝が腫れ始め、痛みがありました。
当院を受診したところ、膿瘍であることが分かりました。この膿が原因で39度以上の高熱も出ていました。当院では、切開排膿し、たくさんの膿を出した後、傷口を洗浄しながら抗生剤を投与しました。5日後に傷口の状態が改善し、自宅で傷の洗浄を続けてもらうことを約束して退院しました。
今月の救われた命

