一般財団法人 阿部 亮 財団

小児がんの入院患者数が過去最大の17名になりました。

ジャパンハートから活動報告が届きました

今月、カンボジアの最大の祝日である、 カンボジア正月を迎えました。

今月の活動トピック

今月、カンボジアの最大の祝日である、カンボジア正月を迎えました。
今年はCOVID-19の予防対策により少人数でお祝いしました。
小児がんの入院患者数が過去最大の17名になりました。
当初15床だった小児がん病棟を19床に増床し治療を行っています。
今後カンボジアで感染拡大した際の備えとして、
フェイスシールドを作成しました。
カンボジアのSNSで不足し始めた消毒用のアルコールの寄付を募ったところ、カンボジア人の多くの方がアルコールをご寄付下さいました。
小児がんの患者さん1名が抗がん剤治療を終え、
退院することができました。
今後は定期的に検査しフォローアップしていきます。
カンボジア正月でいつもより患者さんの数が減少するこの時期を機会に大掃除を行いました。
隅々まできれいにすることができました。

今月の活動実績 まとめ

救われた命 累計126名 (4月単月 10名)

◼ 今月は小児がん患者さん2名を含む、計10名のこどもの命を救うことができました。6ページ目以降で、各患者さんを紹介しています。

がん新規入院患者数 累計33名 (4月単月 2名)

◼ プノンペン市内の国立小児病院から紹介され、2名の患者さんが新規入院しました。
◼ 過去数か月の受診者数と比較し、4月に減少した理由は以下2つあると考えます。
1)新型コロナウイルスの影響で医療機関への受診者数が国内全体で減少していること
2)カンボジアの正月期間(1週間)の州間をまたぐ移動の規制が発令されたこと

特に痛みを伴わない段階の症状では受診を延期する家族もいるのではないかと推察しています。


外来診療数 159名

◼ 今月の外来診療患者数は先月からもさらに減少し、計159名でした。
◼ 先月に引き続く患者数の減少は、前ページで記載の通り、州をまたぐ移動や外出規制によるものと考えられます。
◼ 昨年4月は、カンボジア正月期間の飲酒運転による交通事故が多発し、重症の患者さんが多く搬送されました。
しかし今年は、国の発令した移動規制により、成人・小児共に交通外傷で救急外来を受診する件数が減少しました。


入院患者数 11名

◼ 4月は2名の小児がんの患者さんの他、膿瘍や刺傷・交通外傷など治療を待つことが難しい疾患で入院となる患者さんが多くを占めました。

手術件数 2件

◼ 4月に予定していた、長野こども医療センター小児外科チームによる手術ミッションなどいくつかの予定していた手術が新型コロナウイルスの影響でキャンセルとなりました。
◼ 4月中に実施した手術は次の2件でした。
  1)膀胱横紋筋肉腫で入院中の患者さんの腎臓から尿と排出する管を付け替える手術
  2)14ページで紹介している足に細長い金属が突き刺さった患者さんへの抜去手術

チョムラウン・リエップくん

年齢:2歳
病名:卵黄嚢腫瘍
生殖器や胸の中(縦隔)、お腹の中(後腹膜、仙骨部)、脳などに発生しやすい悪性腫瘍の1つです。
家族構成:父・母・3人兄妹の末っ子

お尻の骨のあたりにできものができ、心配になった両親はプノンペン市内にある国立小児病院を受診しました。
そこで、がんであることが判明し、その病院で手術を行いました。しかし、そこで取り除ききれなかった腫瘍が原因で尿が出にくい危険な状態になり、当院を紹介され入院しました。
当院では尿を出すための管をいれる処置を行い、抗がん剤治療を開始しています。


スライカーちゃん

年齢:1歳8か月
病名:左大腿横紋筋肉腫
将来骨格筋(横紋筋)になるはずの細胞から発生するがんです。子どもから大人まで発症しますが、年代別では、0歳から9歳までの小児に最も多くみられます。
家族構成:父・母・祖母

約半年前に左の太ももが腫れ始め、プノンペン市内のチャリティ小児病院を受診しました。そこで治療を続けましたが良くならず、次に国立小児病院を受診しました。そこでの生検の結果、病名が判明し、当院を紹介されました。これから小児がん病棟で抗がん剤治療を開始する予定です。
工場での仕事が忙しい両親に代わってお世話をしているおばあさんも、たった一人の孫であるスライカーちゃんことが心配で食事ができないほどだったそうですが、ここにきて落ち着くことができたと笑顔で話してくれました。


フーン・メイン・ハットくん

年齢:2か月
病名:前額部膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。
家族構成:父・母・2人兄弟

ハットくんの家族は、ハットくんの額にできたできものをカンボジアの伝統療法で治そうとしました。しかし膿がたまり悪化していったため、以前当院を受診したことがある地元の村の方からの紹介を受け、今回受診しました。
膿瘍を切開排膿し傷口の洗浄と抗生剤を投与する治療を数日間続けました。その後無事に退院することができました。


プイッソムナーンくん

年齢:7歳
病名:背部膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。
家族構成:父、母、妹

ソムナーンくんの背中にできものができ、自宅から3時間かけて当院にやってきました。以前ソムナーンくんの親せきが病院の評判を聞いて受診し手術を受けたことがあり、今度はその親せきがソムナーン君に受診を勧めました。入院後、複数個所にできていた膿瘍を切開排膿しました。傷口の洗浄と抗生剤の投与を続け、1週間ほどで退院することができました。


ソバンカロナくん

年齢:8歳
病名:首と腕の外傷

当院の近くにある叔父の家を訪れていたソバンカロナくんは、叔父が飼っていた犬に首と腕を噛まれてしまい、お母さんと共に病院に駆けつけました。
カンボジアでは狂犬病ワクチンを打っていない犬がほとんどで、ウイルスをもっている可能性があり、噛まれて発症すると致死率は100%です。しかし噛まれた後すぐに適切な処置をしワクチンを打つことで防ぐことができます。当院では傷口の洗浄、消毒を行いました。その後、狂犬病ワクチンを打つために別の病院に搬送しました。


スレイナンちゃん

年齢:0歳
病名:低出生体重
家族構成:父・母

スレイナンちゃんは当院の連携病院である公立ポンネルー病院で産まれました。妊娠週数はよくわかっていません。おそらく31~34週目で産まれたのではないかと推測していて、出生当時の体重は1700g程度でした。当院では、NICU(新生児集中治療室)がなく、治療が難しいため、首都プノンペンにある大きな病院に紹介し治療を受けてもらいました。
数日後スレイナンちゃんは、その病院を退院し、予防接種のため当院近くの保健センターに来ていました。その時偶然通りがかった当院の助産師が状態を確認したところ、体重が1600g台まで落ちこみ、ミルクを飲む力も弱く呼吸状態も不安定でこのまま家に返せる状態ではありませんでした。
そこで再び当院に入院してもらい、体重が増加し、身体の状態が安定するまで24時間体制のケアを2週間以上続けました。
最終的には2100g台まで体重が増加し、母親自ら母乳を飲ませることができるようになるまで回復し無事退院することができました。


セレイメタちゃん

年齢:2歳
病名:薬物中毒疑い

ある日の朝、鼻が痛いと言った後セレイメタちゃんの意識がなくなりました。母親は薬のようなものを吸ったのを見たそうで、当院をすぐに受診させました。来院時、鼻の穴に白い錠剤が解けたものが入っており、それを取り出しました。おそらく祖母の薬を誤って吸ってしまったようでした 。意識がなくなったり、戻ったりを繰り返す状態で、徐々に悪化していました。経過観察をするため入院してもらい、点滴をしながら状態を見守り続けました。翌日の昼にやっと意識を取り戻し、夕方には体調も回復したため、退院することができました。

ビチアくん

年齢:11歳
病名:交通外傷

ビチアくんはバイクとぶつかり頭部と右肩を強打したため、すぐに当院を受診しました。来院時は、めまいと頭痛、怪我した部位に痛みがあり、経過観察のため入院しました。当院では点滴や痛み止めによる治療を行いました。状態が改善し、無事退院することができました。


ソピアちゃん

年齢:13歳
病名:左足の刺傷(貫通創)

ソピアちゃんが家の周りを走って遊んでいたところ、家を作る工具のような金属の汚れた棒が左足の甲に深く突き刺さってしまいました。すぐに自宅から近い当院を受診しました。レントゲン撮影後、手術室で金属棒を抜去する手術を行い、傷口を洗浄しました。正しく処置を行わないと全身に菌が回り敗血症を起こしかねない危険な状態でした。手術後、傷の状態は改善し、無事に退院しました。

スレイヌットちゃん

年齢:2歳
病名:膿瘍(右の脇の下)
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

1週間前よりスレイヌットちゃんの右の脇の下にゴルフボール大の腫れができてしまいました。当院を受診したところ、膿瘍であることが分かり、切開排膿を行いました。その後、傷口の洗浄と抗生剤の投与を続け、傷口の状態が改善してきたので、無事に退院することができました。


今月の救われた命

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