一般財団法人 阿部 亮 財団

過去最大の19名のがん患者さんが入院し小児がん病棟が一時満床になりました。

ジャパンハートから活動報告が届きました

過去最大の19名のがん患者さんが入院し小児がん病棟が一時満床になりました。

今月の活動トピック

病院の活動について情報拡散するために病院の近隣住民を周りながら説明してました。応援の声をたくさんいただいたり、ご寄付して下さる方もいました。
過去最大の19名のがん患者さんが入院し小児がん病棟が一時満床になりました。
食欲が低下しエネルギー摂取量が不足している患者さんのために、微量栄養素の多いモリンガなどの食材を使ったお菓子を週1回提供し始めました。
カンボジア人料理長が加わったことにより、給食がさらにおいしくなったという声を多くもらいました。
より一層満足してもらえるよう今後も努力を継続します。
医師・看護師による勉強会を頻繁に実施し、カンボジア人医療者の知識向上の機会を設けました。
病院のより明るい雰囲気づくりのために、花壇を設置しました。

今月の活動実績 まとめ

救われた命 累計138名 (5月単月 12名)

◼ 今月は小児がん患者さん2名を含む、計12名のこどもの命を救うことができました。6ページ目以降で、各患者さんを紹介しています。

がん新規入院患者数 累計36名 (5月単月 3名)

◼ 国内の他の病院から紹介となり、神経芽腫2名と腎芽腫疑い1名の患者さんが新規入院しました。
◼ 一時小児がん病棟が満床となりました。


外来診療数 220名

◼ 今月の外来診療患者数は計220名で、カンボジア正月のあった4月から大幅に上昇した昨年5月と同様、今年も4月と比較すると大きく患者数が増加した。
◼ 4月半ばから5月下旬までカンボジア国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が確認されませんでした。首都プノンペン市内の交通量がほぼ平時に戻り、市内の緊張感も解けつつあります。その影響もあるためか、過去2か月と比較すると当院に来院する患者さんの数が大きく増加しました。
◼ 開院から2年近く経過しました。累計外来診療件数は、1年目が2039名、2年目は2514名と、前年比23%増加しました。


入院患者数 10名

◼ 5月も先月同様、膿瘍・交通外傷など治療を待つことが難しい疾患の患者さんを中心に入院されました。
◼ 新型コロナウイルスの影響で例年通りの件数の手術を実施できませんでしたが、外科疾患以外の疾患で入院する患者さんは昨年とほぼ同じ数入院しました。

手術件数 2件

◼ 5月も新型コロナウイルスの影響で予定していた手術活動はキャンセルとなりましたが、当院のカンボジア人医師のみで実施できる手術のみ行いました。
◼ 年間の累計手術件数は、開院1年目と比較し、2年目は22%増加しました。
◼ 5月中に実施した手術は次の2件でした。
  1)5歳男の子の左ふくらはぎにできた膿瘍の切開排膿の手術
  2)8歳男の子の首にできた腫瘤の生検

スライナットちゃん

年齢:2歳
病名:神経芽腫
神経の細胞にできる癌です。 小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。 特に、5歳以下の子どもの発症率が高いとされています。

タイの国境に面する、当院から6時間ほどのところに住んでいるスライナットちゃんは、ある日を境に右の腰のあたりの痛みを訴えるようになりました。しかし転んだのか、何か虫に刺されたのか、原因が分からなく、家族はカンボジアの伝統療法や塗り薬を試したりしていました。しかし次第に痛みが強くなり腫れも見られたため、地元の州立病院を受診、入院して点滴治療を受けました。それでも症状が良くならず、より設備の整った国立病院にて詳しい検査を受けることを決め、転院。さらにその後、別のチャリティ病院にて生体検査を受けてがんが判明し、当院の紹介を受けるに至りました。看病をしているおばあさんは、ここでようやく治療を受けられることになり、ほっとした気持ちになったと話しています。
現在、抗がん剤治療を開始しています。



ヌーン・タンリーちゃん

年齢:9か月
家族構成:母・祖父母
病名:腎芽腫疑い
腎臓にできるがんです。たいていの場合、小児の腹部にしこりができ、腹痛、発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐もみられます。 治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。

タンリーちゃんのお母さんはタンリーちゃんのお腹の腫れに異変を感じて、プノンペンにあるチャリティ病院を受診しました。その時には原因が分からず、一度はプノンペンから4.5時間離れた地元の家に帰りました。しかし症状が良くならなかったため、再び同病院を受診し、その時にがんが発覚、当院を紹介されました。タンリー君にはお父さんがいなく、お母さんは普段プノンペンで働いていて、おじいさんとおばあさんが順番に看病をしています。現在抗がん剤治療を開始し、手術にて腫瘍を切除する予定です。


プイティアリーくん

年齢:3か月
家族構成:父・母・祖母・姉2人
病名:尿路感染症
おしっこの出口(尿道口)から細菌が膀胱内に進入することで生じる病気です。膀胱の中で感染がとどまっているものは膀胱炎と呼ばれ、細菌が膀胱からさらに腎臓まで進入すると腎盂腎炎を起こします。

生後3か月のプイティアリーくんは40度近い発熱と下痢の症状があり来院しました。
今回が初めての来院ですが、病院の近所に住んでいるため当院については以前からよく知っていたそうです。細菌が膀胱から広がって腸炎も起こしている疑いがあったため、点滴にて抗菌剤の投与を続け経過観察をし、無事退院できました。


モーン・ヌゥサーちゃん

年齢:1か月
家族構成:父・母・兄
病名:敗血症
肺炎や腎盂腎炎など生体のある部分で感染症が起こり、そこからさらに血液中に病原体が入り込み、重篤な全身症状を引き起こす症候群です。

ヌゥサーちゃんは当院に隣接し連携しているカンダール州立病院で生まれました。産後ケアのため、お母さんと共に当院に4日間ほど入院し、一度は帰宅しました。しかし1か月検診にあたる頃、39度の熱と口の周りに湿疹が出て再び入院し、抗生剤の投与と経過観察を行ったのち退院できました。


ロン・ペアットラーくん

年齢:6か月
家族構成:父・母・兄妹2人
病名:精巣上体炎
精巣上体(精巣の横にある器官)に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。
放置すると陰嚢に膿がたまり、さらに悪化すると皮膚が破れて膿が出てくることもあります。

ペアットラーくんも、当院に隣接し連携しているカンダール州立病院で生まれ、産後ケアのため、お母さんと共に当院に4日間ほど入院していました。
しかし、生まれつきお尻の穴が開いていない鎖肛という病気があり、小児病院で手術を受けて退院したところでした。その後自宅にて発熱と陰のうの腫れ・痛みがあり、近所の当院に入院しました。抗生剤投与後に軽快し、元気に退院しました。


ペン・パンニャーくん

年齢:4歳
家族構成:父・母・妹
病名:左足首膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全 身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

パンニャーくんは足首のできものが一週間ほど消えず悪化していったため受診しました。自宅は隣の州にありますが、親戚がこの病院に入院したことがあり、信頼を置いていたことから当院を選んでやってきました。膿瘍を切開排膿し、傷口の洗浄と抗生剤の投与を行ったのち、無事退院できました。


ディン・ピアロムくん

年齢:1歳7か月
病名:右胸部膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全 身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

病院の近所に住むピアロムくんは胸のできものが3日間ほどの間で悪化していったため、来院しました。膿瘍を切開排膿し、傷口の洗浄と抗生剤の投与を行ったのち無事退院できました。


プラッ・ソクパンナルッくん

年齢:3歳
家族構成:父・母・4人兄妹(末っ子)
病名:前頭部膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全 身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

一つ上のお姉さんが同じ疾患で当院にて入院、治療をしたことがあり、ソクパンナルッくんにも同じ症状がみられたため今回も当院を受診するに至りました。
入院後膿瘍を切開排膿し、傷口の洗浄と抗生剤の投与を行ったのち、無事退院できました。

チューン・ティアラッくん

年齢:5歳
家族構成:父・母・祖母・兄妹2人
病名:左脚膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全 身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

ティアラッくんは以前当院を受診したことのある家族に連れられ来院しました。左脚にできた膿瘍を取り除くため入院の翌日に手術を行い、1週間ほど経過観察をして無事退院できました。入院中はたくさんの親戚が病院を訪ねてきていましたが、面会人数は限られており、寂しそうな表情も見せていたティアラッ君。退院の日は元気に家族のもとへ帰ることが出来ました。


マッヤーちゃん

年齢:1歳
家族構成:父・母・兄2人
病名:耳下腺膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全 身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

隣の州に住んでいるマッヤーちゃんですが、親戚の紹介で自宅から3~4時間かけて来院しました。入院後は、膿瘍を切開排膿し、傷口の洗浄と抗生剤の投与を行ったのち無事退院できました。


セイホアンくん

年齢:2歳
家族構成:父・母・5人兄妹
病名:交通外傷

セイホアンくんは移動中バイク同士が正面からぶつかる交通事故にあい、額と目の周りを強打したためすぐに当院に駆けつけました。当院では応急処置を行ってそのまま入院し、点滴や痛み止めによる治療を行って経過観察をしたあと無事退院できました。


ヴァン・スライリンちゃん

年齢:1歳
家族構成:父・母
病名:ガソリン中毒
少量でも飲んだりすると危険で、のどの痛み、吐き気、嘔吐、頭痛、ふらつきなどを起こします。また、気管に入ると激しく咳込み、肺炎を起こすこともあります。

スライリンちゃんは誤ってペットボトルに入っていたガソリンを飲み込んでしまい、すぐに近所にある当院を受診しました。経過観察をするために入院してもらい、翌日には体調が安定したため無事退院しました。


今月の救われた命

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