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入院中の子どもたちと小児科医 嘉数真理子先生

ジャパンハートから活動報告が届きました

入院中の子どもたちと小児科医 嘉数真理子先生

今月の活動トピック

新生児蘇生法(NCPR)を正しく行わないまま心停止した新生児を当院に紹介したヘルスセンターがあり、後日そのセンター職員に、NCPR講習を行いました。参加者全員が真剣に学びました。
今月は肝芽腫で入院していた3歳ソピア君の治療に一区切りがつき、みんなに見守られながら、無事退院することができました。
10月~11月上旬まで滞在した吉岡医師により、
累計19名の小児がん患者さんが手術を受けることができました。
11月、小児がん患者さんの3歳になった女の子2人と8歳になった男の子1人が、無事に誕生日を迎えることができました。
3人を職員と家族でお祝いました。
11月に入り、季節が雨期から乾期に移り変わり、
快晴の日が続くようになりました。米の収穫の季節となりました。
11月、さらに5名の日本人ボランティア看護師・
助産師がカンボジアの医療活動に加わりました。

今月の活動実績 まとめ

救われた命 累計52名 (11月単月 7名)

◼ 今月は小児がん患者さん3名を含む、計7名の子どもたちの命を救うことができ、
  過去半年の傾向と比較すると少ない人数にとどまりました。
◼ 少なかった理由として、
  ・小児がんの新規入院者数が少なかったこと
  ・毎月一定数受診するような重症な外傷や、入院となる程度の重い呼吸器系疾患などの患者数が0だったことが理由として考えられます。
◼ 救われた小児患者さんについて6ページ以降で紹介しています。


がん新規入院患者数 累計28名 (11月単月 3名)

◼ 11月の小児がん患者さんの新規入院者数は,3名と過去数か月の傾向からすると減少しました。この背景のひとつには、おそらくプノンペンにある国立がんセンター唯一の小児がん専門医が休暇から復帰し、患者の受入れを増やしたことで、その分当院へ紹介される患者さんの数が減ったことが考えられます。


外来診療数 184名

◼ 11月の外来診療数は184名と、前月からさらに減少しました。
◼ 例年11月は年間で最も診療者数が少ない傾向にあります。カンボジアの特産物であるコメの収穫の季節のため、農村部に住む多くのカンボジア人にとって忙しい時期となるためです。

◼ さらに昨年同月の実績と比較すると,診療者数は微増しており、その理由には、カンボジアの水祭りの連休の時期(10月29日~11月1日)が前年よりも早く終わり、今年11月はその影響による外来休診日が少なかったことも理由として挙げられます。(昨年の水祭り期間は11月10日~12日)


入院患者数 23名

◼ 11月は過去3か月の実績とほぼ横ばいの入院患者数となりました。
◼ 陰嚢水腫や鼠径ヘルニアなど、予定手術を多く実施し、そのため入院した患者さんが11月の入院者数全体の約半数を占めました。
◼ その他の内訳は、胃腸炎、チクングニア熱、薬物アレルギー等で、毎月一定数入院していた、細気管支炎や喘息、外傷で入院する患者さんはいませんでした。

手術件数  17件

◼ 11月4日まで滞在していた最高顧問吉岡により、小児がん患者さんへの腫瘍摘出手術を2件行いました。その後、小児がんの患者さんへ生検手術1件を当院にいる医師とボランティアの外科医で実施しました。
◼ 小児がん手術以外には、予定手術を11件、外来患者さんの治療も数件行いました。

ダヴィンくん

年齢:2歳
家族構成:父、母、姉
病名:ウィルムス腫瘍疑い
腎臓にできるがんです。
たいていの場合、小児の腹部にしこりができ、腹痛、発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐もみられます。
治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。

ダヴィンくんの家族はカンボジア東部の山岳地帯のモンドルキリ州に住んでいます。
お父さんは物流関連の仕事をし、お母さんは専業主婦をしている4人家族です。
当院に来院する2か月前頃、ダヴィンくんのお腹の張りがどんどん大きくなっていたため、お母さんがプノンペン市内の国内最大の小児病院に連れていきました。
検査の結果、がんの疑いがあることが判明しました。その病院ではがん治療を行っていないため当院を紹介されました。
そこで、自宅から車で12時間離れた当院を受診しに来てくれました。
現在、入院し、抗がん剤治療を行っています。ジャパンハートでは医師や看護師がよく診てくれていると満足そうに話してくれました。



チャンリナちゃん

年齢:11歳
家族構成:父、母、3人姉妹の長女
病名:胚細胞腫瘍(卵巣)
生殖器や胸の中(縦隔)、お腹の中(後腹膜、仙骨部)、脳などに発生しやすい悪性腫瘍の1つです。

チャンリナちゃんはひどい腹痛のため、シエムリアップ州にあるチャリティ小児病院を受診しました。
検査の結果、卵巣に腫瘍があることが分かり、その病院で、卵巣ごと腫瘍を摘出する手術を受けました。
しかしその1ヵ月後に再発してしまい、同じ病院でもう一度手術を試みたものの、摘出は困難だったため、
抗がん剤治療と手術を行える当院を紹介されました。
当院に到着した頃には腫瘍の影響で、全身がむくみ、すぐに抗がん剤治療が必要な状態でした。
一時、心停止に陥るほど状態が悪化しましたが、人工呼吸器で呼吸をサポートしながら24時間体制の集中治療を続けました。
1クール目の抗がん剤治療を無事に終え、その後、人工呼吸器に頼らずに呼吸できるほどに回復しました。
今後、抗がん剤治療で腫瘍をさらに小さくし、腫瘍の摘出手術を行う予定です。


ソピアくん(途中経過)

年齢:3歳
家族構成:祖父、祖母、父、母、兄
病名:肝芽腫
肝臓にできるがんです。 治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。

ソピアくんは、がんの疑いがあり、2020年8月に当院に紹介されました。
当院で生検の手術を行い、肝芽腫と診断され、抗がん剤治療を受けました。
10月には、日本から入国していた最高顧問吉岡と小児外科医のボランティアによって肝臓の腫瘍の摘出手術が行われました。
手術は無事に終了し、腫瘍を全て摘出することができました。
その後およそ1ヵ月間、抗がん剤治療を続け、11月末についに治療を終え、退院することができました。

退院日、ソピア君の母親は、「退院できて本当に嬉しいです、治療してくれたすべての医療スタッフに感謝しています」と嬉しそうな顔で話してくださいました。


チャンナラットくん(途中経過)

年齢:8歳
家族構成:祖母、父、母、兄2人、妹1人
病名:神経芽腫
神経の細胞にできるがんです。小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いとされています。

チャンナラットくんは、バッタンバン州という当院から車で7~8時間離れた農村部に住む小学1年生です。
今年9月に入院した当初、腫瘍の影響で、歩くことができず、寝たきりの状態でした。
入院してから今日まで抗がん剤治療をよく頑張ってくれて、現在は少しずつ歩く練習ができるほどに元気になりました。
同じ病棟で治療を受ける同年代のお友だちとも仲良くなり、よく一緒に遊んでいます。
11月には無事に8歳の誕生日を迎えることができました。誕生日会を誰よりも嬉しそうな笑顔で楽しんでいた姿が印象的でした。


ネマットくん

年齢:4歳
家族構成:父、母
病名:神経芽腫疑い
神経の細胞にできるがんです。小児期にできる腫瘍の中で、白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いとされています。

ネマットくんは、今年7月頃から腹部の痛みを訴え始めました。
母親は薬局で薬を買い飲ませ、それにより症状は少し改善したようでした。
4か月間時々薬を飲ませながら様子を見ていましたが、痛みが続いたため、プノンペン市内のチャリティ小児病院を受診しました。
そこで検査の結果、左副腎原発の神経芽腫を疑われ、既に首筋や、骨に腫瘍が転移している状態でした。
11月に治療のために当院を紹介され来院し、生検の手術を受けました。
今後、確定診断の結果によって、治療の方針を決める予定です。


ラニーちゃん

年齢:2歳
病名:後頭部の膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

ラニーちゃんは、当院を受診する1週間前にベッドの上で遊んでいたところ、ベッドにできていた穴から落ちて、後頭部を怪我してしまいました。
その後、傷口が腫れだし、それが徐々に大きくなっていました。加えて、熱発したため、母親が薬局で買った薬をラニーちゃんに飲ませました。
一時的に熱の症状は落ち着いたように見えたものの、頭部の腫れは治まらず傷口の小さな穴から膿がでてくるようになりました。
そのため、自宅から車で3時間かけて、当院を受診しに来てくれました。
当院に到着すると、すぐに入院となり、切開排膿をしました。沢山の膿を取り除き、その後入院してもらい、傷口の洗浄と抗生剤の治療を続けました。やがて症状が改善し、無事に退院することができました。



ラユットくん

年齢:3歳
病名:額の膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

ラユットくんは額の真ん中あたりを、当院に来院する約2週間前に、怪我をしていました。
ある時からその患部が腫れだし、徐々に大きくなり、痛みが強くなりました。そこで、自宅から1時間かけて当院を受診しました。
検査の結果、傷口から細菌に感染したことで膿瘍となっていることが分かりました。切開排膿し、傷口を洗浄しながら抗生剤の治療を行いました。
その後症状が改善し、無事に退院することができました。


サムナーンちゃん

年齢:10歳
病名:首の膿瘍
細菌感染によって皮膚の下に膿がたまる病気で、治療を行わなければ菌が全身にまわる敗血症を起こし、命が脅かされる危険な状態になります。

サムナーンちゃんは、来院する2~3か月前から、ずっと右の首筋が腫れて
いる状態でした。
近所のヘルスセンターで処方された薬を時々使いながら様子を見ていましたが、
ある時から腫れが特にひどくなり、10日経っても一向によくならなかったため、当院を受診しました。
診察の結果、膿瘍であることがわかり、切開排膿と入院後は傷口の洗浄と抗生剤の治療を受けました。
患者さんは5日間の入院で症状が徐々に改善し、無事に退院することができました。


ビラックボットくん

年齢:1ヵ月
病名:敗血症疑い
本来無菌であるはずの血液中に細菌が認められる状態を指し、血流感染(英: blood stream infection; BSI)とも呼ばれる

ビラックボットくんとその家族は当院の近所に住んでいます。
ビラックボットくんは、ある時から息苦しそうに呼吸をするようになり、熱もあったので、家族と近所のクリニックを受診しました。
そこで処方された薬を飲みましたが、症状は改善しませんでした。
自宅で39度を超す高熱が出たため、当院を受診しました。診察の結果、敗血症が疑われ、入院となりました。
1週間以上入院しながら点滴や抗生剤の治療を受けました。その後、熱が下がり無事退院することができました。


その他の命を救われた患者さん

今月当院での治療により、命を救うことができた患者さんは前頁まででご紹介した他に8名いらっしゃいます。お名前、疾患名等は次の通りです。
全員、無事に回復し退院することができました。

名前 年齢 性別 疾患名
1 メイレンちゃん 7 F 肩の刺傷
2 チェスダくん 5 M 停留精巣
3 コカくん 10ヵ月 M 細気管支炎
4 レアクサくん 8 M 火傷
5 セレイソットくん 1ヵ月 M 蜂窩織炎



今月の救われた命

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