4名の小児がん患者が無事に退院しました。
ジャパンハートから活動報告が届きました
4名の小児がん患者が無事に退院しました
今月の活動トピック
今月の活動実績 まとめ
救われた命 累計108名
(3月単月 16名)
◼ 今月は小児がん患者さん9名を含む、計16名の子どもたちの命を救うことができました。◼ 救われた小児患者さんについて6ページ以降で紹介しています。
がん新規入院患者数 累計70名
(3月単月 12名)
◼ 3月の小児がん患者さんの新規入院者数は12名に上り、新型コロナの感染拡大で外出の規制が厳しくなる中、引き続き多くの患者さんが当院での治療を求め、来院しました。◼ カンボジア国内で唯一小児腹部固形がんの治療を完結できるチャリティ病院として、国内全土から患者さんが来院しています。
外来診療数 172名
◼ 3月の外来診療数は172名と、例年通りの患者数となりました。また、例年と同様に、3月は1月、2月からさらに減少しました。
◼ 2月20日にプノンペン市内で大規模な新型コロナウイルスのクラスター感染が発生しました。それ以来、コンスタントに国内の新規感染者数が伸びています。クラスターが発生した州では、州境を越えることに厳しい規制が設けられました。交通規制も厳しくなり、外出を自粛する人も増え、全国的に多くの国民の生活に影響が現れた月となりました。こうした国内の感染対策が、患者数が前年微減している理由の一つになっていると考えられます。
入院患者数 17名
◼ 3月は17名の入院患者の内、半分以上の12名が新規の小児がん患者さんでした。◼ 新型コロナウイルスが持ち込まれるリスクを下げるため、急を要さない手術の実施を控え、緊急手術と小児がんを除く3月の手術入院の患者はいませんでした。
手術件数 9件
◼ 3月は上記と同様の理由から、手術対象を急を要する手術に絞って実施しました。最高顧問吉岡とカンボジア現地の医師により、がんの腫瘍摘出手術と生検の手術を計8件実施したことに加え、1名の嵌頓ヘルニアの患者さんに緊急手術を実施したのみとなりました。ソピアくん
年齢:1歳家族構成:父、母、5人兄弟の末っ子
病名:ウィルムス腫瘍
腎臓にできるがんです。多くの場合、小児の腹部にしこりができ、腹痛、発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐もみられます。
治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。
ソピアくんはタイと国境を接するカンボジア北部の州出身の男の子です。
ある時からお腹の一部が固くなり、おしっこに血が混じるようになったため、心配した家族が、
地元の私立病院を受診させました。
そこでシエムリアップ州にある大きな小児病院を紹介され、そこでさらに検査を受けました。
その結果、がんの疑いがあることが分かり、がんの治療を行える当院を紹介されました。
家族は地元のジャガイモ農家ですが、ソピア君が入院し手術を受けることになり、地元から当院に来ました。
3月末、吉岡と現地の医師による手術で
無事に腫瘍が摘出されました。
回復後、抗がん剤治療を受ける予定です。
スーインちゃん
年齢:5歳家族構成:父、母、兄
病名:腹部のリンパ腫疑い
リンパ腫とは血液がんの1つで、白血球の中の
リンパ球ががん化したものです。
リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、リンパ腫は全身の様々な部位で発生する可能性があります。
スーインちゃんはバッタンバン州に家族4人で暮らしています。
当院を受診する3か月前に、シエムリアップ州の小児病院でがんの疑いがあることが分かりました。
そこで、がんの治療を行える当院を紹介されました。当院のことをよく知らなかった母親は、
インターネットで当院のことを調べ、フェイスブック上でもジャパンハートをすすめられ、受診することを決めました。
当院に入院してすぐ生検の手術を受けました。
確定診断の後、抗がん剤治療を行う予定です。
スーインちゃんは笑顔が素敵な女の子で、
ピザを食べることと、暇な時はスマートフォンで動画を見ることが好きだそうです。
リーヒエンくん
年齢:6歳家族構成:父、母、3兄弟
病名:縦郭のリンパ腫
リンパ腫とは血液がんの1つで、白血球の中の
リンパ球ががん化したものです。
リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、
リンパ腫は全身の部位で発生する可能性があります。
リーヒエンくんは来年小学生になる予定で、
よくお母さんと一緒にカンボジア語を勉強しています。
初対面でも誰にでも気さくに笑顔を向ける明るい男の子です。
3月に入り、胸の痛みと息苦しさを感じるようになり、食欲も徐々に減っていました。
そこで母親がプノンペン市内の国内最大の
小児病院を受診させたところ、検査の結果、縦隔(胸の中)に腫瘍があることが分かり、当院を紹介され受診しました。
当院では抗がん剤治療を開始しています。
サムナーンくん
年齢:8か月家族構成:父、母
病名:ウィルムス腫瘍
腎臓にできるがんです。多くの場合、小児の腹部にしこりができ、腹痛、発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐もみられます。
治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。
サムナーンくんは、ベトナムと国境を接する南部の州に両親と一緒に暮らしていました。
お母さんがサムナーン君のお腹を触った時、
不自然に固い部分があることに気付き、プノンペン市内にある国内最大の小児病院を受診しました。
検査の結果、がんの疑いがあることが分かり、
当院を紹介されました。
自宅から車で6時間も離れているため、仕事で忙しい両親の代わりにおばあちゃんが入院に
付き添っています。
3月末には腫瘍を摘出する手術を無事に受けることができました。
4月からは抗がん剤治療を受ける予定です。
ダヴィットくん
年齢:6歳家族構成:父、母、3兄弟の長男
病名:臀部の横紋筋肉腫
横紋筋肉腫とは骨、筋肉や脂肪といった軟部組織にできる悪性腫瘍です。
ダヴィットくんは、当院が位置する州に隣接する州に住んでいて、車が好きな男の子です。
当院を受診する1ヵ月前から臀部にできものができ始めました。プノンペンにある国内最大の小児病院を受診し検査を受けたところ、がんの疑いがあることが分かり、当院を紹介されました。
生検の結果、横紋筋肉腫と判明し抗がん剤治療を開始して、腫瘍は小さくなってきています。
両親は幼いダヴィット君の弟2人を面倒見るため自宅にいるので、入院にはおばあちゃんが
付き添っています。
ソッカムくん
年齢:3歳病名:神経芽腫疑い
神経の細胞にできるがんです。
小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いとされています。
ソッカムくんは、当院を受診する2週間前に転んで以来、腹痛を訴えるようになりました。翌日には腹部が膨れ、むくみも出てきたそうです。
そこで国内最大の小児病院で検査を受けたところ、腹部に腫瘍が見つかりました。
神経芽腫の可能性が高かったため、当院を紹介され受診しました。
入院してすぐに1サイクルの抗がん剤治療を行い
月末に生検の手術を受けました。
今後も当院で抗がん剤治療を継続する予定です。
エナちゃん
年齢:2歳家族構成:父、母、4人兄弟の末っ子
病名:肝芽腫疑い
肝臓にできるがんです。
治療では、手術、化学療法が行われます。
エナちゃんは当院から車で1時間程度離れたところに住んでいます。
当院を受診する5か月前から腹部にしこりがあり、国内最大の小児病院を受診しました。
そこでのMRIなどの検査結果、肝芽腫が疑われ、国立がんセンターに紹介されましたが、治療費が高額なため、治療を受けられずに、自宅に帰っていました。
3月になって発熱するようになり、当院を受診しました。
早速抗がん剤治療を受け、3月末には入院当初よりも元気な姿を見られるようになりました。
ぺラマちゃん
年齢:4歳家族構成:父、母、妹
病名:膣の横紋筋肉腫
横紋筋肉腫とは骨、筋肉や脂肪といった軟部組織にできる悪性腫瘍です。
ぺラマちゃんの家族は、当院から車で4,5時間ほどの距離の離れた地域で米農家をしています。
ある時からぺラマちゃんのおしっこの出るあたりに傷ができ、痛むようになりました。
その後全身の関節が痛くなったため、
母親がシエムリアップ州の小児病院に連れて行ったところ、がんの疑いがあることが分かりました。そこで、がんの治療を行える当院を紹介され、受診しました。
現在全身の関節が痛むため、
歩くのが非常につらい状態だそうです。
当院で抗がん剤治療を行う予定です。
シウマイちゃん
年齢:2歳家族構成:父、母、兄、姉
病名:熱傷嘉数
シウマイちゃんはサッカーボールで遊ぶのが好きで、当院からバイクで10分程度の近所に住む女の子です。
ある時、シウマイちゃんが調理中の揚げ油が入った鍋をひっくり返してしまったことで、
頭と上半身、太ももまで全身の広範囲で大火傷を負ってしまいました。
当院で緊急処置を行い、国内最大の小児病院へ搬送しました。そこで数か月入院して植皮などを受けました。
命は助かり退院しましたが、退院後の皮膚の状態が悪かったため当院を受診し入院しながら火傷の手当てを受けました。
数日間の入院で治療を行い皮膚の状態が改善してきたため、現在退院し、毎日自宅から通って傷の処置を受けています。
サチャックくんとソリャカンくん(途中経過)
サチャック(写真左)年齢:10か月
家族構成:父、母
病名:肝芽腫
ソリャカン(写真右)
年齢:1歳
家族構成:父、母
病名:肝芽腫
ソリャカンくんとサチャくんは昨年8月に肝芽腫の疑いで入院し、当院で抗がん剤治療を続けていました。
手術で腫瘍を摘出する必要がありましたが、2人の手術はカンボジアで実施することが難しいことが分かってきました。
ソリャカンくんの手術は難易度が非常に高いため、現在のカンボジアでは救命する事が難しく、サチャくんは乳児であるため、急変の可能性が高く、乳児の手術管理に精通した専門医や検査機器及び、設備の揃っていないカンボジアでは手術並びに、術後管理が困難でした。
しかし、日本で手術を施行した場合は治癒が可能で「国立病院機構岡山医療センター」が2人の手術の実施を引き受けて下さることになりました。
1月末に日本に渡航し、14日間の隔離期間を経て岡山医療センターに入院しました。
2月に手術を無事に受け、抗がん剤治療を行った後、3月中旬に帰国、再び14日間の隔離を経て無事に当院に戻ることが出来ました。
当院でも抗がん剤治療を続け、治療完了後に退院予定です。
メンヒエンくん
年齢:11か月家族構成:父、母、兄、双子の弟
病名:神経芽腫疑い
神経の細胞にできるがんです。
小児期にできる腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多い病気です。
特に、5歳以下の子どもの発症率が高いとされています。
メンヒエンくんは野菜入りのお粥が好きな
男の子です。
当院を受診する2か月前にお腹が固いことに母親が気付きプノンペン市内の国立小児病院を受診しました。そこでがんであることが分かりました。
がんを治療できる病院をインターネットで調べたところ、Youtubeを通してジャパンハートのことを知り受診しました。
当院では入院してすぐに抗がん剤治療を開始しています。
その他の命を救われた患者さん
今月当院での治療により、命を救うことができた患者さんは前頁まででご紹介した他に8名いらっしゃいます。お名前、疾患名等は次の通りです。 全員、無事に回復し退院することができました。名前 | 年齢 | 性別 | 疾患名 | |
---|---|---|---|---|
1 | キムホアくん | 13 | M | 縦隔の腫瘍 |
2 | ソパンナくん | 12 | M | 神経芽腫疑い |
3 | ティアニちゃん | 2 | F | 神経芽腫疑い |
4 | チャンターちゃん | 8ヶ月 | F | 嵌頓ヘルニア |
5 | キニ―くん | 7ヶ月 | M | チロシン血症 |
6 | バナックくん | 1 | M | 膿瘍 |